ロッテ、 よく聴きなさい 怖くない病気などない どんな病気も、初めは 得体の知れない処から生まれた それを治せるようにしてくれたのは、誰か 考えたことはあるか ―――おくすりじゃないの? そうだな―― 薬というのは尊いものだ 絶対に忘れてはいけないよ―― もう少し大きくなったら わかるさ 今でも時々脳裏にうかぶ光景 私が風邪をひくたび 祖父が縁側で話をしてくれた。 よく覚えていないけれど、 祖父は遠くを見ながらいつも同じ話をする。 子供ながらに懸命に耳を傾けた その光景は、これからも忘れることはない。 *** プロローグ・完 |